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処方箋
さて、もう2月に入った。昨日1日は強風の為アクアラインが閉鎖となり千葉まわりで都内へ。
そして今日2日はここ南房総も朝から小雪が舞い落ちる寒さとなり、天候は荒れ気味。今年の冬は全国的に寒いのか?東北、日本海側での大雪も気になるところ。寒の入りから房州も昼間の気温が5℃前後と寒い日が続いている。

パーカッショニスト(特に素手でタイコを叩く人)にとって一番つらい季節はやはり冬である。そもそも房州に住んだのも冬の季節が少しでも暖かければと思ってのこと。事実平年は都心より2~3℃高く2月が露地物の花摘みの名所となるくらい。ここに住む以前、本気で沖縄か奄美大島に住もうかと思って土地や家を探したことも・・・。

さてこの図、15年くらい前のこと。冬のあいだ、あまりにも指先が冷えるので病院で診察してもらった時のものである。いわゆるサーモグラフィーの検査結果。いかに血行が悪くなっているかがうかがえる。長年素手でタイコを叩き続けた結果なる白蝋病である。パーカッショニストならみんな悩む症状である。

ビタミンE等、冷え性に効くとされる薬くらいしか対処のしようが無く、先生は「この写真をいつも持って、手を気にかけるくらいしか処方がない」とこの映像をプリントアウトしてくれたという訳。あとはミュージシャン廃業するしか手を守る道は無いのか?と、それほど大袈裟には考えたことは一度もないが、なんとか今まで演奏を続けて来た。今またこの検査を受けたらどんなになってるんだろう?

年を重ねるとともに楽器の演奏は力も抜け、要領よく叩けるようになり、手の痛みも少なくなる。よく「それだけ叩いて、手痛くないんですか?」と聞かれるが、やはり痛くない訳ではない。ただ不思議なもので演奏中に手が痛いと思った事は一度も無く、痛いとすれば連日演奏が続く時、楽器に最初に触れた時だけ前日のダメージが少し残っていたりするが、これもウォーミンングアップして手が温かくなる頃に痛みは消えてしまう。音楽によって脳内モルヒネが分泌されるからか?

しかし、手を打面に打ちつけているというのは事実。冬場、演奏が終わって深夜空気が冷え込んだ中、楽器を車に積み込む時などに指先があっという間に冷たくなり、血の気が無くなってしまう。白蝋病と言われるのは指先が蝋燭のように真っ白になるからだ。冬の間は特にクリームを塗ったり気を使うがヒビ割れや爪さえも割れやすい。演奏はとても楽しいのに困ったものである。

まあ職業病と言えばそれまでだが、これだけ寒い日が続くと春が恋しい限り。やっと梅の花が一輪咲いたが、今日はうっすら積もるほど雪が降っている。

| Column | 12:11 PM | comments (2) | trackback (0) |
左右非対称な身体について考える
年が明けてあっという間に一ヶ月が経とうとしている。ブログ更新ののろさに自責の念も募るが、それでも覗いてくれる人がいるならなんともありがたい。

さて、ブログ記事を振り返ってみたら2006年1月の記事だった。そう、初めての老眼鏡を作ったのが・・・。その後徐々に度が進み、この一年くらいは眼鏡をしながらも見えにくくなった文字に無意識に目を細めて自分で矯正する習慣までついてしまった。譜面を見るのもホールやスタジオは明るくていいが、薄暗いライヴハウスではいよいよキツい。そこでいよいよ眼鏡を新調した。

僕の目は左は遠視気味、右は乱視が入ってなんとも左右のバランスが悪い。これがそれぞれ加齢とともに歪みを増してくる。最近は読書をする集中力も落ちた上、ブログの記事やメールなどPCでの文字書きも少し億劫。携帯でのメール打ちなどとんでもなくストレスになる。視力のバランスが悪くなると肩こりなど身体も疲労しやすくなるし。しかし新調した眼鏡は威力絶大で早速本を読みたくなってきた。

話は少し変わって、デスクワークなど多分目からくる疲労には、軽い運動やストレッチが効果的である。そんな時僕は自転車で運動する。自転車という乗り物は二輪でバランスをとりながら進む訳だが、少し負荷をかけて早く走ろうとする時、的確なフォームで効率よく力をペダルへ伝えることが必要となってくる。この時左右の足の運動は対称的に行われるべきで、それが自転車に乗る大事なスキルでもある。フォームが崩れると自転車のバランスも崩れて力が逃げてしまう。しかしここでも自分の身体の歪みに気がつく。

どうやら僕の左足は真っ直ぐで、右足はがに股で外向きと左右非対称。そこで右のシューズにカントをつけて意識を内股にする事で左足と対称的な運動となり、姿勢が安定して力強く走る事が可能となる。しかしこれをずっと意識し続けなければならない。運動中も疲れてくるとこのバランスが崩れますます疲労するという訳である。しかしこれは決して足だけの問題ではなく、体幹筋を強化して動かす筋力を腰や身体全体で支えることで効率いい動きとなる。

楽器の演奏も楽器の特性から左右対称に身体を使う楽器は少ない。ギターやバイオリン、ドラムに至っても極端に非対称といっていい。なので肩こりや身体の疲れを訴えるミュージシャンも多く、マッサージやストレッチで個々に対応している様だが、僕は楽器の演奏もやはり体幹筋が要になると考える。

一見、人間の身体自体は左右対称にできているように思うのだが、鏡で自分の顔をよく見ればかなり歪んでいる事に気がつくし、利き手、利き足等、力を出すバランスも左右対称ではない。右脳と左脳の働きが違うように、運動の指令を出す脳からして非対称なのだから、身体のバランスが対称的にならない方がかえって自然なのか?ちなみに僕は手は右利き(絵を描くのは左手)、足は左利きと、なんだかハチャメチャなバランスである。

しかし美しい動きをする人(顔の表情や姿勢、歩く姿等)というのはこの左右のバランスが良いのではないだろうか?そんな左右対称の身体の動きが気になる今日この頃である。

| Column | 04:35 PM | comments (1) | trackback (0) |
謹賀新年


前途は輝きながらも峻嶮である。

足を緩めずひたすら前へ進むのみ。

希望に溢れる一年でありますように!

本年もよろしくお願い申し上げます。


| Topix | 12:53 AM | comments (1) | trackback (0) |
四半世紀以上愛用できる物
写真はこのクリスマス、合わせて誕生日に奥様よりプレゼントされたもの。

二足の靴を縦に並べたのだがプレゼントされたのは当然上の新品の靴である。イタリー製スカルパ社の”ガルミッシュ”という靴である。そして、下の靴は僕が80年代半ばに買った同じモデルの靴。すでに25年以上履き続けてきた。近年は履く頻度が著しく減ったものの、もう自分の足にピタッとフィットしたその履き心地から、かかとあたりはもうボロボロだがたまに履きたくなり、出掛けてしまう。しかし履いている間はいいのだが、飲み屋など靴を脱がないとならない場所へいくと、さすがにそのボロボロっぷりが恥ずかしくなり、ついプレゼントのリクエストをしてしまったという訳。

スカルパ社は登山靴の専門メーカーだが、ガルミッシュは長年定番となるトラッドなタウンシューズである。ご覧の通り新品にはまだ艶、光沢は無く、皮もシットリした感じ。最初に買った時の物よりも皮が柔らかい感じがするが、記憶は定かでない。スカルパの刻印も既に変更されていて、以前の物の方が好きだが、皮のカット、足を滑り込ませる感覚は新品でも昔と変わらない。愛好者も多く、何足も買い替える人もいるそうだ。とにかく履き始めて1年くらいじゃ年季は入らない。さてこれからどのくらい履き続けられるのか。

僕は「これは一生モノですから」という言葉に弱いのか。見るからに長持ちしそうなものや、飽きがこないと予感するものはちょっと高価でも無理して買ってしまう傾向が・・・。しかし実際長持ちするものでも四半世紀以上愛用できるのは楽器くらいかと思うのだが。

しかしもう一品。これもちょうどこの靴と同じ時期に購入したCDプレイヤーである。
スイス製 STUDER社、A727というモデル。放送局などで使われるプロ仕様のCDプレイヤーだ。確か当時定価は40万円以上だったかと。ステレオのハイエンド指向のマニアというのは、質よりも自分の好みの音が鳴らないと直ぐに手放してしまう。そんなほぼ新古品と出会い25万円で買った覚えがある。それでもたかがCDプレイヤーに25万も出すのは当時の自分にとっては思い切りが必要だったが、試聴してみると、まるで湯水のごとく音がしっかりと溢れ出てくるという印象で、即決した。

買って10年程経ったあたりで、別段故障があったわけでもないのだが、長年使ってきたからと一度オーバーホールに出したのみ、次にオーバーホールに出そうとした時には既に絶版となり部品も揃わないとのこと。おかげで液晶の画面だけがかなり暗くなってしまったが、今だ現役で我が家で活躍中である。最初に聴いた音の感覚も今だ変わらずである。四半世紀経って故障さえ無い事を考えると25万円の買い物は価値があったと実感するが、さてあと何年使えるだろうか?

| Column | 06:54 PM | comments (5) | trackback (0) |
僕のバイブル
さて、早いもので今年も師走に入った。このところ音楽ネタから遠のいていたので、懐かしく印象的だった話をひとつ紹介しよう。

今でもよく「なんでパーカッションというパートを選んだのですか?」という質問を受ける。高校時代、ブラスバンド部で僕はティンパニを叩いていたのだが、それもドラムセットを叩けるようになりたくてブラバンへ入って打楽器の基礎を習おうと思ったのが事の始めで、パーカッションパートは部員も数少なく成り行きでティンパニを担当していた。しかし部室には先輩のドラムセットがセットしてあり、ここがドラムを練習できる唯一の場所でもあった。

アマチュアロックコンサートが盛んに行われていた湘南地方で、まずは学校の仲間でバンドをやろうとドラム叩いてロックをやっていたのだが、70年代のアメリカンロックや、ソウルミュージック、徐々に流行り出したフュージョンミュージックにパーカッションの音が盛んに取り入れられ、特にコンガの音が8、16ビートのリズムに独特のグルーヴを加えているのに心が惹き付けられた。当時風に言えば「なにか独特なノリがある」と聞こえ、自分はこのグルーヴや音色にやたら興奮した。ブラバンではティンパニは花形パートで、クラシックとはいえ曲を高揚させるその役割にゾクゾクする感覚も経験できたが、それはドラムでもコンガでも同様に打楽器特有のこの興奮感が好きで音楽にノメリ込んでいったという訳である。

高校中盤にいよいよ国産のコンガを親に買ってもらい、バンド仲間と一緒に演奏し始めた。もちろん回りにコンガを叩くヤツなどいないし、当時メソッド本やビデオさえ無い時代の事、とにかくレコードの音を耳でコピーして、自己流で叩き方を摸索するしかない。今思えばメチャクチャな奏法で演奏していた事になる。

ドラムというパートはバンドの看板役になりがちだが、パーカッションという立場はいろんなバンドにスルリと入り込め、多くの友達と知り合えるという感覚も当時の自分は好きだったのかもしれない。実際当時コンガを叩くヤツなどいなかったし、珍しがられた事もあったのか、いろんなバンドから声をかけられ演奏したが、メンバーになるというよりもセッションしているという感じだった。

大学に入るころから益々音楽にノメリ込んでいくわけだが、演奏するフィールドを徐々に広げようと、アルバイトをして本格的な楽器、自動車免許、そして車を手に入れた。当時日本で手に入る外国産のコンガは2社しかなく、その一つLP社(Latin Percussion) のファイバーのコンガ(写真上)を浅草にあるコマキ楽器で手に入れた。世界の一流ミュージシャンが使うものと同じ楽器を手に入れた訳である。が、しかしこの楽器がなかなかいい音で鳴ってくれない。というのも正しい奏法で叩かないと、特にファイバー製のコンガは汚い倍音がたくさん鳴ってしまい、いい音がしない。せっかくいい楽器を買ったのに、これは勉強し直さないとちゃんと鳴らないゾとかなり焦った覚えがある。

そのタイミングで、この楽器にLP社の小さなカタログが付いて来た。アメリカ国内向けの英語のみのカタログだが、ここに「Understanding LATIN RHYTHMS」という教則レコードが載っていて、入門編2枚(写真右)とソロ練習編3枚のLPレコードである。たしか全部で$80くらいだったと思う。なんとかこれを手に入れたかったが、当時街の都市銀行でも米ドルの現金両替などできなかったので、丸の内の貿易会社に勤めていた姉に頼んで現金の$100を調達してもらった。(確か$1=¥280くらい?)ちょっと無謀だが、この現金$100をそのまま封筒へ入れ、つたない英語でメッセージを添えてダメもとでLP社へこの教則レコードの注文の手紙を送ったのである。

待てど暮らせど音沙汰は無く、3ヶ月経った頃だろうか?忘れかけたところに明らかに内容物がレコードとわかる外国からの荷物が我が家に届いたのである(船便だった)。中には丁寧な肉筆の書面があり、「遠く地球の裏側からのオーダーありがとう!どうぞ、これを聞いて上手に楽器を叩けるようになって下さい」と涙が出そうなメッセージが記されていたのである。後でわかるのだが、このメーッセージはLP社社長の倅さんが書いたものだった。

この教則レコードはいくつかの基本的なラテンリズムのアンサンブルと、パートごとに音と手順を説明した冊子もついていて、一流中の一流ミュージシャンによるアンサンブルのサウンドは今聞いても心躍る極上のグルーヴを奏でている。これこそが僕のバイブルである。この後、毎日この教則レコードを手本に練習を続けたのは言うまでもないが、2年後このメンバーを含むTito Puente率いるLatin Jazz Ensembleというコンボが来日し、彼らの演奏を見た僕は一発で完全にノックアウトされ、すでにプロとして音楽の仕事をしていたものの、N.Y.へひとり勉強へと旅立つ決心をしたのだった。30年以上前の事だが、何故かついこないだの事の様に思える。

と、僕が音楽に関わる上でのちょっとしたエピソードを紹介したが、自分が今まで音楽を生業としてこれたという時間の中で、いろいろなキッカケとなる出来事があるが、これを少しづつ連載してみようかな、などと考えている。

| Music Diary | 06:16 PM | comments (7) | trackback (1) |

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